タクシー運転手 約束は海を越えて


韓国映画は初めて見る。右側通行なんだ、っていうのが最初の驚き。主人公は貧乏系の個人タクシー運転手で、父子家庭で11歳の娘がいる。うちの子と同じ年だわ。ソウルで仕事していて、ドイツ人記者を光州というところに送っていくという話。ソウルと光州がどのくらい離れているのか、映画の中では距離の話は出なかったけど、帰ってから調べたら約300Kmぐらいだって。首都と地方都市みたいな関係かしら。日本で言ったら東京と名古屋よりもう少し近いぐらいの距離感?車移動だと6〜8時間ぐらいかな。

普段アメリカ映画ばかり見ているから、1980年代の韓国の日常風景ってものすごく貧しそうに見えてびっくりしたけど、でも日本の団地も普通に映せばこんなものかなとも思った。

家賃を滞納して大家に疎まれている主人公だけど、子供の身の回りの生活は一応その大家も目を配ってくれているみたいで、うちの子より守られているなって思った。私は人付き合いを避けてばかりいるけど、その結果子供が負担を被ることになっているというのはずっと気にはなってる。

ドイツ人記者が韓国に来て韓国人のジャーナリストと話す場面で、ドイツ人はタメ語で、韓国人はですますで喋っているのは、そういう力関係があるのかしらって思った。身振りとかからはそれほど上下関係がある感じしなかったけど。80年代ぐらいにはどこも欧米人が強かったという描写かな。

戒厳令が出て封鎖された市街地とか、あまり映像で見たことが無かったから、こんな風になるんだ、って初めてイメージ出来たところもある。こんな風になったら個人ではどうしようもない気がするね。団結して戦わないとならないって、こういう事態からの死活問題として出てきた話なんだ、っていうのも見える感じ。私は今年になってデモとか参加し始めたけど、誰ともつながりたくないからつながろうとしていなかったけど、そんなんでは全然ダメなんだ、っていうのがわかった。

私がこの立場だったらどうなんだろうとか思いながら見るけど、どれも、ここまで出来ないなって思うことばかりで、有事の際っていろいろ試されるものなんだ、って思う。あと最終的には身体能力がモノを言うこともよくわかるので、体鍛えないとなって思った。

出てくる人の見た目がほとんど誰もかっこよくないんだけど、意を決して行動することで、みんなどんどんかっこよく見えてくる。タクシーでけが人を助けに出るところとか、最後のカーチェイスとか、すごくかっこいい。大学生も。

主人公が父子家庭のパパという設定が良かった。これで家で妻子が待っている系だったら、足元の生活は妻に丸投げしておいて正義を男のロマンに位置付けて邁進するいけ好かない感じ、になるだろうところが、家庭の責任も負っている主人公だから、11歳の子を一人で待たせることになる焦燥感が、あるある、わかるわかる!って感じになるワーママ系感想。私はそれでもこの辺かなり仕事優先寄りの考えだから、そもそも11歳の子供を一人にするなんてありえない、ってなる人もいるのかもしれない。

でも最後に会おうとしなかったの何でかなって思った。あとソウルナンバーを見つけていながら見逃すことにした兵隊さんの考えとかも。この人はどんなことがあったんだろうって。