シード ~生命の糧~

「東京干潟」と「おだやかな革命」と「SEED」というドキュメンタリー映画3本立ての上映会で、チケットを買うと3本見れるんだけど、「東京干潟」と監督トークで2時間くらい座っていて疲れたので(面白かったけど)、「おだやかな革命」はパスして外でお昼ごはんとか食べてた。「SEED」の回で戻った。


映画『シード ~生命の糧~』予告編

植物の種の保存に取り組む人たちが世界中にいて、その人たちの活動を追ったもの。そういえば植物の種のことなんて日頃まるで考えないで生活していたなって思った。うちの親戚は種苗店やっているので、日本ではサカタのタネとかが大手の会社で、こういう種の品種改良とかに取り組みつつ安定した種をお店に卸して、農家はそれを買って育てるみたいな関係があるのはなんとなく知ってはいたけど、確かにトウモロコシにしても芋にしても、限られた種類の品種しか売られてはいなくて、そういうのが中心で栽培されていくことで、野良植物みたいなのはどんどん淘汰されて残らないっていうのはあるのかもねって思った。この数十年で植物の94%の多様性が失われて残ったのだけが広まっていく、というのに植物学者とかが危機感を持っていて種の保存に動いているってことだった。動物の保護と違って種は瓶詰めして物置に並べて置けるからわりとシステマチックに管理は出来る感じで、世界中にそういう種子バンクがあるんだって。一品種が世の畑を席巻するとその品種が抵抗できない病気が流行ったときに全滅して飢饉につながる可能性があるっていうのは昔から聞いたことはあって、だから多様性は大事ってよく言われるところではあるけど、こういうバンクで保存していて有事の際に取り出して蒔いたとしても、収穫までの間に相当時間を要するだろうから、そういう用途の役に立つのかなって思った。でも無ければ詰むだけだものね。長期的視野が必要なものなのかも。

よく日本の植物の種を外国に持って行って蒔いてはいけないって話は見かけることがあって、外来種に駆逐される従来種みたいな話は植物に限らず聞く話だけど、「トウモロコシは多くの人の主食としてアメリカ全土および世界中に広まっていきました」というのはわりと肯定的に語られていて、それはいいの?って思った。品種改良と遺伝子組み換えも何が違うのか私はよくわからないのよね。作中では、トマトに豚の遺伝子を注入するようなことです、って表されていたけど、それで妖怪トマトン的な怪物が生成されてしまうのだとしたら恐ろしいなって思うけどそういうわけでもなさそうで、何のためにすることで何が問題なのかって、まだよくわからないなって思った。以前にNEWTONで遺伝子特集やってた回で、イネと人間の遺伝子は94%だったかは同じ内容で残りの数%の違いでいろいろな違いが出るみたいな記事があって(かなりウロ覚え)、だったら多少組み替えてもそんな変わらないんじゃって思ったこともあるんだよね。この辺はまだ判断保留な感じ。

モンサントって聞いたことある大手の種子会社がそういった遺伝子組み換えとか農薬の研究とかを大々的にやっていて、近隣住民に健康被害を出したりしていて抵抗運動が世界各国で起きているってことだった。そういえば日本でも種子法とかいうのが改正(改悪?)されてモンサントに支配されるとかされないとかいう話を最近よく見かけるけど、今のアメリカいいなり政府の元でどんな風に変えられようとしているのかなって改めて不安な感じになった。映画はアメリカで撮られたもので、モンサントは金の力でアメリカ議会に強い影響を与えていて、自社で作った繁殖力を弱めて一世代しかもたないような植物を農家に買わせようとしている(毎回種を買うように仕組んでいる)、って訴えている人たちがいて、確かにそういうことは企業はやりそうなことだし、種が一企業に支配されるようになったら良くない感じはするねって思った。世界各国でそれぞれの地域なりに種に関わる人たちの考えを知ることが出来て面白かった。種が発芽する様子とか時々入るアニメ映像とかもきれい。