東京干潟

「東京干潟」っていうドキュメンタリー映画を見てきたよ。干潟ってなんとなく日向っぽくて平和なイメージあるよね。多摩川にも干潟が出来る場所があるなんて知らなかったわ。


東京干潟&蟹の惑星 予告編

河川敷に住むおじいさんの生活が中心に描かれた話だった。ホームレスの人の住居に近づいたことは無いけど、よく遠目で見かけるような洗濯物が干してあってトタンみたいなので囲われた住居で、近づくとこんな風なんだ、ってわかった。猫がたくさんいて、15匹くらいの面倒を見ているとか。避妊手術したり猫缶を買ってきたりで負担が大きそうだった。取材期間が4年くらいあって、最初は河口でシジミを採って生活していたのが、川に橋を架ける工事が始まって環境が変わって、最後の方はシジミが全然採れなくなってしまったみたいな話だった。そもそも人が暮らせるくらい多摩川シジミが取れるものだったんだっていうのを初めて知ったわ。でも10Kg以上丁寧に拾い集めて2500円程度だってことで、大変さの割に合わない気はした。画面には映らないけど監督らしき人の声がずっと入っておじいさんと会話していて、その人がおじいさんの話をいろいろ引き出していって、おじいさんの若い頃の話とか、普段どういう考えで生活しているのかとかが少しずつ見えていく感じ。私はわかったからといって特に近づきたい気にはならないけど、話を聞いて映画にしようと思う人もいるものなんだなって。

主役のおじいさんはホームレス歴が長そうだったけど、作中で、昨日から河原に住み始めましたみたいなおじさんが出てきていて、始まりの見た目は会社員と見分けがつかない感じだけどそこから変わっていくのかなと思った。

あと女性ホームレスもいた。監督とおじいさんの話ぶりから、私が知ってる「女は排斥される世界」を勝手に重ねて見ていたので、いないかと思っていた。話のとりとめのなさに、思考に若干ブレーキをかけられている感があって、その辺から苦労が見える感じだったものの、あまり女役割を持たされている風でもなく淡々と近所に暮らしているみたいで、そういう風に暮らせるものなんだって思った。

最後の方では台風が来るシーンで、小屋で台風を受け止めるの怖い。作中では2018年の台風で浸水はしなかったけど、2019年の台風では浸水して、小屋は残ったけど家財道具とかは全部無くなったって後で監督がトークで言ってた。監督経由でSNSとかで支援を募ったらわりと物資が集まったので、今は何とか、みたいな話だった。

干潮で水が引いた河原にすっごい蟹がたくさんいるシーンがサラリと入っていて、あんなにいるものなの?って思ったら、後での監督のトークの中で、多摩川の干潟を見に行った時に蟹がとてもたくさんいて面白かったから最初は蟹を撮っていてそれはもう一本別の「蟹の惑星」って映画にしたって言ってた。そっちも見たいわ。