パリの恋人


【予告】「スクリーン•ビューティーズvol.1」パリの恋人

午前十時の映画祭で見た。今年は「地獄の黙示録」「オール・ザット・ジャズ」「雨に唄えば」「グリース」「パリの恋人」をこの映画祭で見れた。DVD借りて家で一人で見るのだと気力が続かないけど、映画館に出かけて大スクリーンで見るのだと集中できるし楽しい。

いきなり決断力溢れる感じの女性リーダーが出てきて、頼もしい、って思った。ファッション誌の編集長で、全アメリカ女性のために来年のトレンドを自分が決めてやるわ、って勢いがすごい。ヘップバーンどれかな、って思ったけど、オフィスの人ではなく、町の書店の人だった。最初は地味に登場するのね。

書店員のヘップバーンが、突如やってきて店を荒らしまくっていった一味のうちの一人(フレッドアステア)にキスされてあっさりなびく辺り、古い話だなって思った。後の方の展開でも思ったけど、いろいろステロタイプな了解が成立している前提があると、かなり話が速く進むのね。今はその前提から話を作っていかないとならなくなっている時期なんだね。一人一人みんな違うものね。

フレッドアステアも、まあ魅力的なんだけど、ヘップバーン捕まえて「美人とは言えないけど魅力がある顔だ」なんて言える程の顔でもないよねって今の時代に見ると思うので、そういう辺りから、女は容姿を一方的に品評されて当然な空気が伝わってくる。その状態から、「ドリーム」とか「ペンタゴン・ペーパーズ」とか、仕事をする女性にその仕事内容でスポットが当てられるようになるまで持ってこられているのすごい。日本も意識が追いつけるといいけど。

パリの風景は、私はエッフェル塔以外ではアメリカと見分けがつけられないけど、アメリカの人が見たら違いはわかるのかしら。車がチープな感じが「タクシー運転手」を思い出した。

地味な書店員がパリに着いた途端にカリスマモデルに変貌して魅力的な衣装、表情を次々見せつけて「女が幸せであるためには魅力的であること♪」と歌ってくるのだから、ものごとの是非は別にして説得力つよい。「インテリの議論」をバカにしている風もよく伝わってくる。実際にこの映画を見ていなくても、この映画が作った空気の中に住んでいたなって思った。「グリース」の時にも同じようなこと書いたっけ。