翔んで埼玉
これも調布の映画祭でかかっていたので見に行ってきた。話題作だから見たかったよね。原作まんがはまだ読んでない。魔夜峰央はパタリロも読んだこと無いんだけど、いつくか読切を読んだことはあって、確実に面白いって印象は持ってる。パタリロも機会があれば読みたい。
日本ってまだまだ差別だらけだから、虐げられる埼玉県民の描写とかはいまいち笑えないものがあるなって思った。この前「夜明け前」で座敷牢に閉じ込められた人の話とか見てきた後なので、Z組の生徒が暮らす小屋とか、つい100年前に実際そういう立ち位置に置かれていた人たちのこと、今でもホームレス生活をしている人のこと思うと、今どきあり得ない描写っていうにはまだ生々しいなって。
あと、県民差別についてはやってる側がおかしく見えるように意識して作られているように思えたけど、女性差別については何ら意識されていない感があって、「愚かしい女」は、そう見ている人の目線が相対化されることは無く、そのままそうであるものとして出てくるんだなって思ってそこがイヤな感じ。
格式が上位になっていくにつれて成金・鹿鳴館式になっていく辺りが、脱亜入欧の精神を突き詰めていった先って感じで、そこは明治の頃から変わってない上下感覚を戯画化して現わされて惨めな気持ちと面白い気持ちが半々。
どう見ても女の人が演じている金髪の生徒会長が少年だって設定に何か意味があるのかと思ったけど別にそこに関しては性別に言及される感じではなかった。魔夜峰央作品だからその辺の境界は曖昧にしていくスタイルなのかしら。東京・埼玉・千葉のリーダーが全員いかにも男だと、それはそれで現代の性差別をそのまま映したって嫌な感じになるから、バランスは良かった気がする。
埼玉と東京の関係の話かと思ったら千葉がかなり絡んでいて、埼玉・千葉間で大規模に対立した後に連帯して東京に押し寄せてくるスタイルで、この辺がすごく良かった。戦国時代の日本の小国が覇権を争っていた様式を蘇らせて、今の時代に分断統治されている民衆が手を取り合って中央を倒しに行く道筋がポジティブなものとして示された感じ。一揆の精神を自分たちに取り戻していきたいねって思った。
埼玉は大宮駅をよく使うくらいで他はそれほど知らないんだけど千葉は住んでいたことがあるので、ご当地ネタは千葉の方が面白かった。イケメンリーダーが率いているしね。チバラギの言葉にキレて啖呵切りまくるママも素晴らしかった。
私はテレビは平成になってから見てないぐらいの長期間に渡って見ていないんだけど、最後の頃に見ていたテレビでよくバブルガムブラザーズが出ていたので、エンドクレジットで「ブラザートム」って見て懐かしくなって、どこに出てたんだろう?って思ったけど、後で公式サイトとか見てみたら、最初から出ているパパがそれだった。記憶にある感じと全然違っていた。まあ30年経っているものね...。あと京本政樹って人も、中学生時代に友達が大ファンだったなって思い出した。今でも現役なんだね。
名前と顔が紐づかないものの聞いたことある有名な役者さんがたくさん出ていて、そういう大御所の人たちが全力で「変な世界」を再現しているのが面白かった。大人数の迫力もすごいし、面白かった。