ベイマックス

とても面白かった〜♪評判が良いけど、アナ雪も評判の割に実際見たらストーリーとかさっぱりだったし、とそんなに期待してなかったけど、これは非の打ちどころなく面白かった。

冒頭にショートアニメが入る構成にも慣れたので、ちゃんとそのつもりで観た。でも今回のショートアニメ(愛犬とごちそう)はなんか微妙な。メリダ、アナ雪は、ショートアニメは文句なく素晴らしかったけど本編はちょっとという感じだったけど、今回は逆の印象。いや、どっちかなら、本編がイイ方が良いけど。

愛犬とごちそうは、犬の健康や気持ちを考慮する人間が誰もいない状況の中、犬の方が人間に都合よく動いて結局幸せ風にまとめられていて、実際世の中で犬に期待されてる役割ってこんな感じで、皮肉というか問題提起なのかもしれないけど、見ていて痛ましい気持ちになって。犬の目線の高さで見る情景は斬新で良かったけど。

ベイマックス本編の方は、アナ雪で予告は見ていたので、兄が遺した癒しロボットを戦闘用に改造してカッコ良くする少年みたいな大枠の予備知識はあったけど、少年がどういう人で、その行動に至るまで何があって、みたいな積み重ね方がとてもソツが無くて。メリダやアナ雪で感じた、話の行き先ありきで登場人物はそこに向かって回してるだけ感が全然無くて、そこがとても良かった。脚本家が変わったのかしら。登場人物の個性の組み合わせでストーリーが生まれるのは、それはとても楽しい。

冒頭のロボットバトルのシーンが、なんかストIIとか餓狼伝説とかの頃の画面を思い出す、危険なアジアの裏通りの上澄みのような雰囲気で、それだけで引き込まれる。そういえばエンドロールの声優一覧で「女ボス」って出ていて、それって誰?と思ったけど、このシーンの胴元のことだったのかな。

アナ雪は王制敷いてる設定なのに登場人物の関係がフラットすぎて、全員アメリカンハイスクールの生徒みたい...と思ったものだけど、今回のベイマックスの登場人物ははカレッジの生徒そのものなので、そのフラットさがむしろ楽しい。私も改めていろいろ勉強したいと最近よく思うんだけど、こうして楽しそうに学問してる絵を見ると、ますます憧れが募るね。未来を牽引する気があるなら研究を、という教授のストレートな勧誘の言葉も素敵。

舞台が相当日本入った架空の都市で、この前の3Dドラえもんとよく似た近未来な都市空間と、ガスメーターが露出しているような古い家屋が雑多に入っている、見慣れたような、外国の目を通して魅力的に再構築されて知らない土地になったような不思議な感じ。店の看板が日本語で出ているから、みたらし団子屋さんの前か〜...とか見ていて思うんだけど、外国で上映される時もそのままなのだったらあまり看板とか読みとらなくていいのかしら。つい読んじゃうけど。

着ぐるみ被って戦う人のせいで、終盤の戦闘は特撮めいていた。私は特撮好きじゃないのでそこだけ安っぽく見えると思ったものの、他のキャラクターの格好良さでほぼおなかいっぱいなので、それはそれでいいけど。最後に彼が締めるとは思わなかった。

ベイマックスそのものに関しては、見てる最中はかわいい!面白い!って思っていたけど、こうして見終わってから思い返すと、ああいう包んで癒す役割とかキツいよね、ロボット持ってきてくれてよかったわ、とかいろいろ黒い気持ちにもなる。
いや、開発者のタダシはほんと好青年で、いいんだけど。あれだけの良兄貴が中盤で居なくなってしまうのがほんと残念。でもほんと、そういうところも、このお兄さんが居なくなったら悲しみに暮れるのはすごくわかる、という感じで、毎回引き合いに出して何だけど、今までのメリダ、アナ雪の、えー、他にもいろいろやりようはありそうなものなのに、何でそういう話になるの?という違和感が全然なく、こういう考え方をするキャラクターがこういう場面に遭遇したら、そういう風に行動するよね、という積み重ねで話が進んでいて、面白かった。
画面はメリダもアナ雪も素晴らしかったけど本作もやっぱりとても美しいし。また観たいな〜。