三四郎

三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)

昔の本だから、あまりたいした事件も起きないんだろうなぐらいの感覚で読み始めたら、ごく序盤から、見ず知らずの女の人と相部屋になって一晩過ごして度胸無いのね、とか言われてみたり、友達の家で留守番してたら近所の線路で自殺する人が出て礫死体を見に行ったりと、現代でもあまり無いぐらいのイベントが次々出てきてびっくりしたけど、どっちもほとんど本筋とは関係なかった。本筋は友達の彼女が気になるというぐらいの話かな。本の裏の粗筋に失恋するって書いてあるので、三四郎が何か仕掛けて相手にされないパターンだとしたら、その辺の心の動き方がリアルに描写されたら、読むのがつらいなと思ったけど、何もしないままに相手がいつの間にか別の人と結婚してしまっただけだった。虞美人草のヒロインはわりと性格悪くて人の気持ちを把握した上でいいように使う系だった気がするので、こっちのヒロインもそんな感じかと思っていたけど、もう少し大人しいのかも。
作中の隠居老人みたいに書かれていた広田先生って、23歳の主人公が生まれたばかりのころに高校生だった...って、私と同い年ぐらいかなー。昔の人は時間無いな。
同級生の、現代思想の中心にいる的高揚感がなんとなく良かった。当時の東大生だったら実際にそうだったのか、それとも若いうちはみんなそんな気がするというレベルの話なのかは、読み取りきれなかったけど。